幻想的で美しい沢山の木々、しばし別の世界にいるような気がしました。
花の市場は、松・千両など、日本の新年を飾る花たちが多く集まっています。
「苔梅」「苔木」。見事なオブジェのような枝ぶり木々たち・・・。
照明の暗い市場の中でこの木々に出会った瞬間、しばし見とれてしまいました。
個人的に胸をしめつける様な感覚を覚えたのは・・・
この木々と付着した苔たちの長い年月を想ったからでしょうか。
色々な種類の苔たち(?)がここにはいました。しかし・・・「苔」と思っていたのはどうやら少し違うみたい。
そこでまた、システムエンジニア兼植物博士の同僚、Sさんにお知恵を拝借。
以下はSさん。
『市場に入荷する「苔木」の所々に下垂しているちょっと大ぶりな苔(コケ)。
この名前を知っている人はあまりいないと思いますがサルオガセ(猿尾枷)。
一見すると苔に見えますが、市場に出回るハイ苔や、スギ苔などとは
まったく別の植物で「地衣類(細菌と藻類の共生体、太古の地球で、最初に陸上進出を
果たした生物の一つとも)」と分類されます。
ブナ林など主に落葉広葉樹の森で、朝夕霧のかかるような環境下の樹上に着生する
姿から「霧藻」ともいう。
ちなみに「苔梅」などの表面に苔状についているのは「ウメノキゴケ」これも地衣類の1つ。
胃腸薬になり、利尿作用があるとされている(作用・効果は曖昧)た
め、鍋に入れて食用にする地域もあるとか。
十分に湿度のある環境では、甘酸っぱい独特のにおいを放つため
リラックス効果をもつとしてアロマテラピーにも使われているそう。』
「サルオガセ」は写真右上と左下。「ウメノキゴケ」は左上。
ヒトが地球上に存在するはるか前から存在する細菌と藻類の共生体・・・ものすごい。
植物の世界の深さと、美しさに圧倒されます。
この日のトム・ヨーク「ジ・イレイザー」。あの完成された繊細さは、やはり混乱と試行錯誤があった末のアルバムだったようです。日本独自企画盤レア・トラックの詰まったこのアルバムを。
照明の暗い市場の中で、堂々とした風格を見せてくれた苔木の小さな森と、トム・ヨークの混沌。